ミゼレーレ

バロック詩の情報。

2018-01-01から1年間の記事一覧

ドン・サンプリシァン・ゴディ

私の魂がそのとき弱い牢獄から飛び立ってゆくと、どのように私は死ぬのだろう。そしてどのように私の魂は業火のなかへ墜ちてゆくのだろうそれとも天国へ行くのだろうか。私にはわかるのだ、肉体が凍り、やつれ、鉛色になり、ばらばらになり、すっかり見わけ…

ピエール・ド・マルブフ④フィリスvs世界の不思議

(拙訳) バビロンはその煉瓦の城壁を誇り、ロードスは誇り高い巨像を轟かせ、エジプトは天の最上の高みに至った工房の見事な石塊で。エフェソ人は神殿と遺跡を愛し、セミラミスには目を見張る庭園があり、マウソロス霊廟は偉大なる不思議、だがオリンピアのユ…

クロード・オピル⑤キリストの最後

(拙訳)門から伸びた、天の御手があなたの肉を形造り 間をおいてそれが、剥がされしも至高の習い。 閃く象牙の光沢を額はもたない、 閉じかかったまなざしには光も栄誉も見えない、 閔*1憐に値する悪寒すら感じられぬ顔色、闇の暴力で奪われてからだは砂色、…

クロード・オピル④

(拙訳) 雅歌 そのXXX 花婿のベッドは、カーネーションと百合で尋常でない美しさ !これって神さまの、甘美なパラダイス ? この真夜中の寝台で聖なる魂は寛ぎ、花嫁は眠り、腕は弧を描く。それを死の接吻で見守る花婿。花嫁の父が訪れ、言霊の口から彼にキスを…

ピエール・ド・マルブフ③解剖学の恋文

(拙訳) 眼の解剖学 眼は国境に囲まれた要砦の中にあるそこは 2 本の太い道に挟まれ、狭く閉じた渓谷まぶたは跳ね橋、まつ毛は手すり、眉は城壁。それは 3 つの体液と、水分と硝子体の合間で泳動する水晶体この繊細な組織の性質は、曖昧模糊としているが入っ…

ジャン=バティスト・シャシニェ③寂しさは重みを増す

(拙訳) 寂しさの疼きは、腕力が落ち、どんどん重くなる:哀れな石の下、一丁上がり ! 私たちの中に、定めを避ける逃げ場はないカモられて灰左様なら、を避けられない。

ジャンバッティスタ・マリーノ⑤樹木たちの音楽祭

(拙訳) 牧歌「オルフェウス」より、山の樹尽し トラキアの聖なる山村着る物もない私は宿を借りた彼はポプラ林を下り[...] 優美な直立不動の、葬儀の檜を見スーパーざっくり整えたピラミッド[...] 樹々は超なるはやモードでほっそりした樅[...] たおやかな白…

色物詩

ごめんあそばせ、みなさまのなかで不器用なわたくしに、こちゃ、なにかせよとのご難題。 あちゃえ、こちゃえ、なにをいたそか、なんちゃって漢詩でも阉伶不可乗*1 速馬理由防 歌神束間奪 金鈴之美唱反歌 :ドップラー歌の神が馬で走るカストラートのソプラノ…

ジャン・ド・ラセペド②フレンチ・キス

(拙訳) 「定理」より 対話が終わり、聖母と神の子は 双子のように自然な動作で長いキスをした 唇を固く着け、互いの腕はゆるく同期し ぶどうのつるが楡を包みこんだ 【蛇足】フレンチ・キスみたいな趣向は「アガペー」と「神ですら愛する」を対にし、バロッ…

ピエール・ド・マルブフ②酒とタバコ

(拙訳) みよ、気高い鼻筋に山吹色の鼻面。 貴腐ワインの宙を裂く爪痕、 悪友は、少くとも日にバケット1 杯は嗜んだ、 だがはらわたから潮汐が溢れる事はなかった。 毎週タバコの塊を干し、 優にパイプ 80 本分の刻タバコに化けた。 やがてエッセンスは脳髄に…

(うそ) バナナオーレのボツCM

①バナナ・クロワッサンに忍ぶ粉乳 (シャールク・カーン) が、生乳の中にスニーキングしたバナナ・ピューレ (アーミル・カーン) の存在を知り、もといた世界の中にも自分をとりまく別世界の縮図があることを知る ②自分をバナナ園だと思っていたら、実はミルク…

🈁文献ノート🈁👈

ジャン=バティスト・シャシニェ ビブリオ https://www.idref.fr/026781638 http://www.unjourunpoeme.fr/auteurs/chassignet-jean-baptiste (「生の軽蔑と死の慰め」抜粋) http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8623320t (散文「十二小預言者」) https://b…

ジャンバッティスタ・マリーノ③+万葉集

(拙訳) 乳搾りの乙女 リディアが田舎風の ゴブレットに搾り出す間、 肥沃で豊満な後姿、 私は 2 色の生成りを見た、 自然と愛との。 樹液のように、 無垢の掌中の白い諧謔、 乳色の中の乳色を見分けられぬ者がいようか。 【以下蛇足】 乳賛美は、本邦の古典…

クロード・ル・プチ③

(モロコプラス何かな拙訳) 私をへし折り転ばせるがいい。 あぶって超暴力したまえ。 トルチュック *1 にして、セヤー *2吊ってはどうだ。 この歌をワーブルス*3しよう: マルチック*4はデボーチカ*5のため、 デボーチカはマルチックのため。 *1:こてんぱん *…

クロード・オピル③驕れる暴君

【西諸弁ふう拙訳】 ーくんごっ・塔ん・上から・だっ・そ・に・みいげながよん (Like a tyrant, from the top of a tower,) いおん・どん・さ・るっ・しもち (Enjoy watching a lion around) ぁ・せぎっちょんな・ぬ・ひどん・だっしぁ・て震えっし・もーと…

ジャンバッティスタ・マリーノ②笑いと米

(拙訳) 嗚咽と米 甘く、甘く、甘い笑み 去ったかの人のたわわな笑い、 いつも甘みはほろ苦く、霊魂を削る ; 嘆きに救われ、笑いに殺される。 陰鬱の底で草生やす、確かさを欠く2つの光、(中略) もし私の慟哭が、心の深奥に 悲しみを塗込めて尚死ななかったら…

あったかタオルマッサージ

詩ばっかり読んで、疲れたでしょう? 温タオルでもどうぞ。 60℃のお湯を出す。(けっこう熱いので注意!) お湯でハンドタオルをあっためる。 まぶたを閉じる。 タオルを上からぐりぐりっと押し付ける。 頭や胸を拭くのも気持ちいい。 ポ・モ言説に疲れた時は……

クロード・ル・プチ②スペイン娘は臭い

(拙訳)「美神たちの淫売宿」より 滑稽なマドリード ああ!何というタマネギとニンニクの悪臭なのか かわいい娘たちのまき散らす息は!(XXV より) (via https://books.google.co.jp/books?id=4m9eAAAAcAAJ ) 【蛇足】まるきりスパニッシュ・オムレツの材料だ…

ジャンバッティスタ・マリーノ (蜂と蝿の奇想詩)

バッティスタ・カステッロの蠅 ミャグロ神よ、羽のある陰気な者たちの逃亡と恐怖、虐殺と大災害にして、かつて壮麗な神殿を建立したミャグロよ、現在の罪深き時代がお前を知らぬとしても、 (中略) 飛び去ってしまわないならば、私はあちこちの食卓のリキュー…

ジローラモ・フォンタネッラ

画餅の愛 【知人による和訳】 私は、愛の学校に行ったことも無いのに 愛する事について書いたり論じたりする ; 愛の雷の轟きも知らないのに、愛の達人の様に、 愛の稲妻の美しい二筋の光を描く。 理屈で愛を語れるが、美が魂を動かすからくりを 経験した事も…

ギー・ドゥ・トゥール

汝、優婉にしてふくよかに太れり ぽつてりと美しくまろやかなるに 加へて白く穢れなく優しく雅なり されどいまより丸きを望むならば 我に手だてのなきにあらず、腹よ 天の蒼穹に負けず汝を丸々にせん (高遠弘美訳) でぶ大全作者:ロミ作品社Amazon Mr.Babe (P…

ロベルト・メニーニ

嘘、この世の女王 Only falsehoods I perceive at every turn Whether I look with my mind or my eyes. If I look at a palace of a god-like king, thousands of falce portraits I see ; If I linger in museums, I admire the hyperbolic painted canvas…

(うそ) ミルク🧸ココアのキャッチコピー

ランス旧イエズス会大学の二重螺旋*1の、ミルクとココアの出会い。 (アンジー・エステス) おお汝、少彦名神の水ようかん! (サン=タマン) モンブランとコートジボワールのxx (クロード・ル・プチ) 戀の金子証文*2も、栗毛色に染まりやがるぜ (ラ・プリンセス…

ジャン=バティスト・シャシニェ (ゆく川の流れはもとの水にあらず)

WATER NEVER THE SAME Beside a flowing river sit and gaze, And see how it perpetually runs In wave on wave, in many thousand turns, As through the fields it takes its fluid ways. Thou'lt never see again the wave which first Flow'd by thee; …

ジャコモ・ルブラーノ

【拙訳】 どんな魔法のかかった水晶体で 目玉を大袈裟にするかわいい装置で 1 粒の砂をペルーの黄金の山に変え ちっちゃな粒子を巨大に見せるんだろう ? もっと近寄せると、ますます楽しくなるよ; 2,3 粒の水滴は、恐るべき海の氾濫 1本の糸屑は雷の一撃; き…

サン=タマン③ 鳥と魚

既にナイチンゲールは灌木の上で鳴いていたが 魚たちがナイル川に飛び込む音も聞こえてきた。 (白鳥、あの羽でできた帆を持つ美しい航行者は) 同時に泳ぎかつ飛ぶ。 そこでは、鳥が飛ぶのを見るために、 私は視線を下げねばならなかった。 (一本釣り) 泳いで…

サン=タマン② チーズ

【英訳】 O of Bacchus thou sweet lure ! Cheese, thou art a treasure sure ! So may but of thee to think Spur me evermore to drink ! FILL LACKEYS! 【知人による和訳】 おお、チーズ、汝はバッカスの甘い誘惑! まさしく 、我が最愛の宝! そなたのこ…

ジャン・ド・ラセペド (エルサレムとマウントオリーブ)

The opening sonnets of Jean de La Ceppède’s Théorèmes (1613,1622) present an urban vs. rural conflict that mirrors the dialectic between sin and salvation running throughout the work. La Ceppède’s focus for this struggle becomes the stark c…

プルースト

私は、子供たちが小さな魚をとるためにヴィヴォンヌ川のなかに仕掛けた水差しを眺めて楽しんだ。 その水差しには川の水が満ちているが、またその川のなかで水差しは、自分の方も水に包まれており、固形の水のように透き通った横腹をした「容器」であると同時…

バロック建築②

E: 私はサン=シュルピス界隈はどこも好きですよ、教会も含めて。ただイタリアの偉大なバロック建築には似ていないと思うんです。バイエルンのバロック建築*1にもおよばない。 (中略) ルネサンス様式で建てられているとはいえ、 シャンボール城*2のようなロワ…