diary

バロック詩の情報。

月 報

☺️ 後記バロック詩の調査は2011年、名前のスペルを調べるところから始まった… クロード・オピル (Claude Hopil) ジャン=バティスト・シャシニェ (Jean=Baptiste Chassignet) ジャン・ド・ラセペド (Jean de la Ceppède) ピエール・ド・マルブフ (Pierre de M…

ジャン・ド・ラセペド⑦イエス・キリストがプルートを殴る

(拙訳) 愛が彼をオリンポスから下らせた:愛が彼に人の罪を負わせた:愛が彼に血を流させた:愛が彼に唾を吐きかけられる苦しみを与えた:愛が彼の頭にこの棘をつけた:愛が彼の母に、彼がこの木に吊るされるのを見せた:愛が彼の手にこの無骨な釘を打ち込ん…

クロード・オピル⑥3 匹の仔猫

(拙訳) オラ! この先は口をつぐみ、沈黙の中で讃美する時だ。愛らしい3 匹の仔猫たち。S.S.S. 主よ ! 【蛇足】S.は仔猫のしっぽかもしれない。「超訳」ではなく、ホントにこう書いてある。

ピエール・ド・マルブフ⑤アイリス(菖蒲、虹彩、虹)

(拙訳) 太陽の光は、雲のうねりの上に降り注ぐ。反対側の雲は、露の気配でやがてアイリスの穹窿が見えてくる、虹彩の輝きが地平を彩る。 ああ、彼女はもうここにいる。天空を多彩に染め上げ、さまざまな輪を生み出す。そして太陽にその誕生のエナメルを見せ…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑲奇想詩

(拙訳) 女神の雪像は、見る者の目には冷たく映る、だが違った、内に炎を燃やしていた。氷の井戸の底… (奇想詩「アフロディテの雪の彫刻」より) …愚か者、信じやすい人、盲目的な人間の舌にこの女神は、どれ程甘い事だろう… (奇想詩「アフロディテの砂糖人形…

ジャン=バティスト・シャシニェ⑫赤ら顔の虫

(拙訳)己の在り様を見つめよ。 あなたが求めるこの角笛は 青白い墓の下で朽ち果てなければならない、 リンゴの欠片の懲らしめを受けるのだ。 ブーケよ、人間ほど不幸なものはない、 赤ら顔の虫ほど見るのも恐ろしいものはない、 腸から滋養のある肉を貪る、 …

サン=タマン⑤ミツバチは涙を飲む

(拙訳)ミツバチは涙を飲むために、愛する巣を離れ 平原に蒔かれた花々の魂を弔う。 蜂はさらに、優しい蝶について語る。 百合の花に代わって 薔薇に口づけをする。

クロード・ル・プチ⑤数奇な運命

ル・プチが火刑に処された翌年の1663年、オランダ・ライデンで「美神たちの淫売宿」が出版された。詩人は原稿のコピーを友人の一人、シルデベック男爵に送っていたのだ。男爵が印刷させた本は、国立図書館に1部だけYe 4920という番号で保管されていた。 だが…

フラミニオ・デ・ビラーグ

(拙訳) 理性もなく、ろくな眼もなく、愛を描く連中。吹聴者、黒天主、嘲笑者、欺瞞者、気まぐれな魔肖。残忍で愛から本質を奪ったもの。香草の夜から、彼らは巧みだった。 ああ、そしてそれが真実なら、この悪ガキ共、 彼はその理由として力と暴力のように私…

(よい子は見ちゃダメ) ジャン・ド・ラセペドのパロディ詩

thry.hatenablog.com ☝️この作品のパロディを書いてる方を~…のでー、拙訳彼はすべてを満足させた: 彼はすべてに値する、 この乾木の上で、歓喜は真実に到達する : そこには正義と平和が睦み合う。 酔っぱらったグラスの中のサタンは、私たちの魂の歓喜を飲…

アブラーム・ド・ヴェルメイユ④キスの和音はルール違反

(拙訳) 愛のキスは、音楽のオクターブだ。 だが1つ手にしたあなたは、2つ目を手に入れようとする。 なぜ、愛で和音を奏でるの ? それはあなたが言う様に、理論への罪を犯す事。 ムザイン私の残酷な悲しみに生き埋めにされた、 わが声の墓を延々と引きずる私…

イランとフランス、17 世紀概観

17 世紀のイランとフランスは、奇妙にも並列して見える──強力で神聖な君主権が確立され、その統治手段として宗教が形式化された点が(反シーア派、国教化、ナント勅令の取消) 。いずれも反- 神秘主義を伴った。フランスの場合だと 17 世紀末、フランソワ・フ…

ピエール・ド・マルブフ (海と愛は分ち合う)

(拙訳) フィリスへ 海と愛は、その苦さを以て分ち合う 海水は舌を焼き、愛は胸をえぐる 人は海と愛に足を取られ沈む なぜなら、嵐から解放されることはないから。 海が怖ければ、決して浜辺から出ないように 愛から受ける痛みが怖ければ、 その猛火を拒みな…

フランソワ・メナール

(拙訳) マニフェスト 小さく上品な、ウサギを連れた*1紳士たちへ、 私の詩が熱病のように 血液と脈拍を変える人々よ、 私はあまりにも虚栄心が強いと知ってください あなた方に対して何も考える気になれないほど、 あなた方を批判する労力をかける気はありま…

(R指定男子向け) テオフィル・ド・ヴィオー

風刺詩 公爵よ、貴君はお元気ですか?君はどのように人生を過ごしていますか?もし君が今日しなかったならば、これらの詩で君は(あれを)したい気になるだろう。君は陽気ですかね? 元気はつらつですかね?君は病いが治癒しているのを気づいていますかね?この c..…

(R指定) クロード・ル・プチ

姦淫する十四行詩 【関西風拙訳】 ケツを掘れ *1, お○こを犯せ お○こする天国と地獄、 お○こする悪魔といかづち、 お○こするルーブルとモンフォーコン。 お○こする伽藍とバルコニー、 お○こする平和と戦争、 お○こする炎、お○こするガラス、 お○こする水神と…

(下品注意)クロード・ル・プチ④

(拙訳) パリのソウガム 此所こそが、埃塵溜め ! 泥色に染まる都。読者諸賢をして満足さしめる為、書き記さん ! 堊臭放つ、汚物の精錡水(えりくせる) 卑劣で邪道な亡者の剣 堊魔(ぢゃぼ)の暗黑色の拭き残し 窒息させに地上に現れたのだ。 (Via https://fr.m.w…

(R指定男子向け) ジャン・オジエ・ド・ゴンボー

(拙訳) マセットの愉しみ 楽しいマセット いつもおぼこのふりをして 罪悪感は、ほぼほぼ豆粒大 あたい一寸法師と寝てるもん、だと (Via https://www.poemes.co/divertissement-de-macette.html ) 【蛇足】画像は金象牙彫刻 (クリセレファンティン) の一種。

ギョーム・コレット

(拙訳) 「麗しい詩、聖なる怒り、帝国の甘い法則」 (Via http://perso.numericable.fr/anne.lantenant/menu-anthologie.htm )

アンドレア・ペルッチ③

まるで17 世紀のナポリの群衆が周りにいるかのようで、私は涙を流しながら観劇していた。(ベネデット・クローチェ、1888年) 羊飼いの歌 「羊飼いの歌」(La cantata dei pastori) は、聖夜のナポリで演じられる音楽劇の中でも、今日では上演が珍しくなった作…

フィリッポ・スグルッテンディオ

(従業員 2 名+α による訳) 罠に掛かったねずみと、男を比べてみれば 可愛いネズ公、おまえと私は愚にも同じ運命のようで、しかも破滅ときている:匂いにおびき寄せられてチーズに突進するおまえ私のチーズでありパンであるケッカ*1に突進する私キューキュー金…

ティエルス・アン・ターユ

パイプオルガンの技法で、バロック時代のフランスだけで広く愛好されたスタイル。ソリストと協奏曲という両極的な旨味を同時に味わえる。*1。 近年は有名ブランドのショーのコンセプトにも採用されており「フランスらしい」のかも。 *1:主オルガンの右手とペ…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑰パリモード

(従業員2 名による訳) スコトゥス宛のビュルレスク(パリの習慣の皮肉と自虐) 神よ! このおろかでたわけた服装の全裸よりおめでたい姿をご覧になったらしばし御笑いが止らないでしょう。まず、上着の腹の部分の先端が出っ張りを潜って、お尻の境目になります…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑯

(拙訳) マドリガル「ニンフ、苺食む」 愛らしい口で、その時わが手から「あ~ん」と食みし、猛烈に魅力的な存在よ。あなたは苺を与えられていた草の生えた土手に座っている間。おお、可愛いフローラ。近くに良い場所を見つけた。緑の日陰の膝に座っていた。…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑮獄中の手紙

(拙訳) お気の毒な詩をひり出す気にもなれません。 娼婦たちは、精霊にでもならなければ、この洞窟の尖塔も、鉄の隙間も通れない。だから私は活動的なことより、思索的なことに喜びを感じ、この哲学的な思索の深さを通して私をメナルカ、メナンデル、メネラ…

ジャン=バティスト・シャシニェ⑪ + ゲバラ

(拙訳) 幼少期は不毛の花に過ぎない。 青春とは、虚栄心の塊のようなものだ。 壮年期は、退屈と徒労。 老いは、悲しみ、悔俊、痛み。 私たちのゲームは不愉快で、喜びは悲惨だ。 財宝の様に映る、苦悩と悩みを抱えている。 湖、牢獄、鎖の様な私たちの自由。…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑭愛は鍛冶屋、キスの鍛冶屋

「アドニス」について 主軸はヴィーナスとアドニスの悲恋物語。 (拙訳)…「お教えください、女神様」 片方が問う「あなたのこれらのキスは心からのものですか、ただの唇からのものですか」相手が応える「私は唇を噛むことで心からのキスをします。愛は鍛冶屋…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑬ナイチンゲールの美

「アドニス」より しかしこのうえなくしとやかに歌い優美に羽ばたくどんな美しく雅な小鳥たちにもまして森のセイレーンであるナイチンゲールはそのほっそりとした震える吐息をもらして、翼をもった群れたちの師匠と見えるように凝った様式を生み出していく。…

で、「偽ディオニュシオス」って何よ?

なぜ「偽」かというと… 新約聖書に一行だけ登場するディオニュシオス(アレオパゴスの裁判官デオヌシオ)とは別の、5世紀のディオニュシオスが書いた本だったのが、長い間混同されていたので、区別をつけるために「偽」とつけた。日本語Wiki充実。 ディオニュ…

ジャン=バティスト・シャシニェ②人生の船乗りたち

凪は何度も長いこと船乗り達を 海に引き止める、逆に思うまま吹く風は、 しばしば予定より早く まだ嵐が来ていない港へ船乗り達を運んでゆく。 (中略) 死の港で自由に生きるためには、 誰もが自分の最も若い時期にたどり着くところへ 一度は確実に着かなけれ…