私はかつて、その幸福をわがものとした事などない。
フィリスが私に飲ませてくれたことがあろうか、
恋のもつ甘美を。いや、一度としてありはしない。
わがフィリスよ、私はあなたに口づけしたか。
どうか思い出させないでほしい。
私は自らの意思に命じる、
そんな事を話題にしてはならぬ、と。
おお、わが忠実なる孤独よ、
もし私がかつておまえに、
あの美しい人の心は私のものだ、と語ったなら、
そう証言すればよい。事実として認めよう。
フィリス、尋ねるがよい、あの野に、
低く横たわる谷に、丘々に、
誇らかな山々に、
森に、小川に。
彼らこそ、悉く私の秘書。
だが私は、まことにお前に誓おう、
彼らは何ひとつ知らぬと、
私自身が黙秘する事柄は。
ところが今しがた、私は聞かされた。
お前が私を口の軽い男と呼び、
シルヴァンドルは秘密を守る掟を
知らない、と言っていると。
私たちの聖く貞淑な
恋を目撃した証人は、
ただ、この木立の茂みばかり。
その傍らでは水が戯れながら流れていた。
私たちの恋が露見したというなら、
あの水が魚たちに語ったのだろう。
あるいは、この谷のどこかの鳥が、
茂みから聞きつけたのかもしれない。
あの水は、お前ゆえに
自分が受ける非難に耐えられない。
聞こえるか、ぷくぷくと不平を鳴らし
小石たちにその話をしているのが。
鳥たちもまた、争いに加わる、
茂みの弁護側となる。
そして水へ論しかえすのだ、
「否、鯖もまた魚である」と。
これ以上責めないでくれ、美しい人よ。
私の苦しみを憐れんだ天が、
この仲違いを収めるため、
動物達に法廷劇を演じさせたのだから。
(Via https://www.bonjourpoesie.fr/lesgrandsclassiques/Poemes/pierre_de_marbeuf/songe )
【鑑賞の壺】
一. 「鯖」には「恋の取り持ち屋」の同音異義語がある
一. 語り手の意図に反して秘密は全世界に広まる


