diary

バロック詩の情報。

ジャンバッティスタ・マリーノ⑲奇想詩

(拙訳) 女神の雪像は、見る者の目には冷たく映る、だが違った、内に炎を燃やしていた。氷の井戸の底… (奇想詩「アフロディテの雪の彫刻」より) …愚か者、信じやすい人、盲目的な人間の舌にこの女神は、どれ程甘い事だろう… (奇想詩「アフロディテの砂糖人形…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑱愛は鍛冶屋、キスの鍛冶屋

「アドニス」… 主軸はヴィーナスとアドニスの悲恋物語。 (拙訳)…「お教えください、女神様」 片方が問う「あなたのこれらのキスは心からのものですか、ただの唇からのものですか」相手が応える「私は唇を噛むことで心からのキスをします。愛は鍛冶屋、キスの…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑰パリモード

(従業員2 名による訳) スコトゥス宛のビュルレスク(パリの習慣の皮肉と自虐) 神よ! このおろかでたわけた服装の全裸よりおめでたい姿をご覧になったらしばし御笑いが止らないでしょう。まず、上着の腹の部分の先端が出っ張りを潜って、お尻の境目になります…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑯

(拙訳) マドリガル「ニンフ、苺食む」 愛らしい口で、その時わが手から「あ~ん」と食みし、猛烈に魅力的な存在よ。あなたは苺を与えられていた草の生えた土手に座っている間。おお、可愛いフローラ。近くに良い場所を見つけた。緑の日陰の膝に座っていた。…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑮獄中の手紙

(拙訳) お気の毒な詩をひり出す気にもなれません。 娼婦たちは、精霊にでもならなければ、この洞窟の尖塔も、鉄の隙間も通れない。だから私は活動的なことより、思索的なことに喜びを感じ、この哲学的な思索の深さを通して私をメナルカ、メナンデル、メネラ…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑬ナイチンゲールの美

「アドニス」より しかしこのうえなくしとやかに歌い優美に羽ばたくどんな美しく雅な小鳥たちにもまして森のセイレーンであるナイチンゲールはそのほっそりとした震える吐息をもらして、翼をもった群れたちの師匠と見えるように凝った様式を生み出していく。…

✋✊✌️名匠列伝

ジャン・ド・ラセペド(1550?-1623) 17 世紀のインクリングズ。古代神話をキリスト教で再解釈し「異教のミューズをクリスチャンのミューズに変えた」と、フランソワ・ド・サール (ほぼ同時代に活躍した、作家・記者の守護聖人)をして言わしめた。1550年頃にマ…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑪バラ讃歌

「アドニス」より薔薇讃歌 バラの花は愛の微笑(ほほえみ)、まこと天のなせる麗質わが血でできたバラは、真紅に香り世の賞讃の的、自然界の飾り大地と日輪との、清ら乙女ニンフにとっても、牧者にとっても、こよなき歓び香りかぐわしい家の誉れうるわしの花々…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑨蒼白な女性を愛でる

「竪琴」より 蒼白きわが太陽よ、おまえの愛くるしい蒼白さに鮮紅の暁はその色を失う。蒼白きわが死よ、愛くるしく蒼白き菫のようなおまえには愛をたたえた緋色の薔薇もひれ伏すのだ。おお、わが運命の意に添いたまえよ。愛らしいおまえとともにわれもまた蒼…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑦クリストフォロ・コロンボ

(拙訳) クリストフォロ・コロンボ 私こそがコロンボだ。他のすべての創作者が驚嘆する、空飛ぶ機械を造った、リネンの翅と木の脚で動く; 精霊とともに空を飛び、誰も降り立ったことのない場所へ鳩 (コロンバ) を導いた。 (Via https://books.google.co.jp/bo…

ジャンバッティスタ・マリーノ⑤樹木たちの音楽祭

(拙訳) 牧歌「オルフェウス」より、山の樹尽し トラキアの聖なる山村着る物もない私は宿を借りた彼はポプラ林を下り[...] 優美な直立不動の、葬儀の檜を見スーパーざっくり整えたピラミッド[...] 樹々は超なるはやモードでほっそりした樅[...] たおやかな白…

🈁文献ノート🈁👈

ジャン=バティスト・シャシニェ ビブリオ https://www.idref.fr/026781638 http://www.unjourunpoeme.fr/auteurs/chassignet-jean-baptiste (「生の軽蔑と死の慰め」抜粋) http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8623320t (散文「十二小預言者」) https://b…

ジャンバッティスタ・マリーノ③+万葉集

(拙訳) 乳搾りの乙女 リディアが田舎風の ゴブレットに搾り出す間、 肥沃で豊満な後姿、 私は 2 色の生成りを見た、 自然と愛との。 樹液のように、 無垢の掌中の白い諧謔、 乳色の中の乳色を見分けられぬ者がいようか。 【以下蛇足】 乳賛美は、本邦の古典…

ジャンバッティスタ・マリーノ②笑いと米

(拙訳) 嗚咽と米 甘く、甘く、甘い笑み 去ったかの人のたわわな笑い、 いつも甘みはほろ苦く、霊魂を削る ; 嘆きに救われ、笑いに殺される。 陰鬱の底で草生やす、確かさを欠く2つの光、(中略) もし私の慟哭が、心の深奥に 悲しみを塗込めて尚死ななかったら…

ジャンバッティスタ・マリーノ (蜂と蝿の奇想詩)

バッティスタ・カステッロの蠅 ミャグロ神よ、羽のある陰気な者たちの逃亡と恐怖、虐殺と大災害にして、かつて壮麗な神殿を建立したミャグロよ、現在の罪深き時代がお前を知らぬとしても、 (中略) 飛び去ってしまわないならば、私はあちこちの食卓のリキュー…