diary

バロック詩の情報。

ピエール・ド・マルブフ③解剖学の恋文

(拙訳)

眼の解剖学

眼は国境に囲まれた要砦の中にある
そこは 2 本の太い道に挟まれ、狭く閉じた渓谷
まぶたは跳ね橋、
まつ毛は手すり、眉は城壁。

それは 3 つの体液と、水分と硝子体の
合間で泳動する水晶体
この繊細な組織の性質は、曖昧模糊としているが
入って覗くのにためらうことはない。

連動するつ 6 つの被膜は*1
組織が動く中で滑るのを防ぎ
多孔質の腱が組織をしっかりと
支え、全てのコンパートメントを確保している。

4 つの筋肉はまっすぐ、2 つの斜筋*2は、
迅速・敏捷に素早く刺激を伝え
なおかつ、視神経との連携では
常に堅実な機動力を発揮する。

(中略)

しかし暮らしに欠かせないこの灯火は、
身体の闇を背景として輝いている。
わたしと貴女がからだなら、貴女は眼であって
マリー、それは貴女の偽りなき美を損ねるのです。

 


【蛇足】かように真の学問とは恋文だ。

 

*1:両眼の線維膜・ブドウ膜・網膜あわせて 6 つ ?

*2:外眼筋のことか