ミゼレーレ

バロック詩の情報。

ジャンバッティスタ・マリーノ⑱愛は鍛冶屋、キスの鍛冶屋

「アドニス」… 主軸はヴィーナスとアドニスの悲恋物語。


(拙訳)
…「お教えください、女神様」 片方が問う「あなたのこれらのキスは心からのものですか、ただの唇からのものですか」相手が応える「私は唇を噛むことで心からのキスをします。愛は鍛冶屋、キスの鍛冶屋。心が蒸留し、唇で叩き出す。魂がもっとも悦び、言葉は少なく。私たちがしているのはキスというより互いの愛を届けあう動きの早い赤褌野郎です。 貪欲な舌が寡黙に語り、その深みは沈黙で感じられます。溜息とキスは私の心のもの、あなたにキスすることはあなたの心を噛むこと。 燃え盛る魂は、互いに抱擁できる唯一の方法で応えあうのです」…

 

…このように黒騎士が話し終えると、白騎士は堂々と応じた。 拙者は正論ではなく、武器で戦い、鉄の舌で貴公に答え申そう、騎士であるからして…


【蛇足】

  • 初版刊行 400 年記念。
  • 「アドニス」、小さな図書館ほどの大きさの、バロック趣味の巨大な記念碑(エリック・バトラー)
  • この詩集のものづくしはブリューゲル(父)とルーべンスのコラボ「視覚の寓意」と並べて評されることがある。