diary

ココロノ ヤサシイ チンジュウノ ウチデス。ドナタデモ オイデ クダサイ。オイシイ オカシガ ゴザイマス。オチャモ ワカシテ ゴザイマス。

ジャンバッティスタ・マリーノ⑮獄中の手紙

(拙訳)
お気の毒な詩をひり出す気にもなれません。


娼婦たちは、精霊にでもならなければ、この洞窟の尖塔も、鉄の隙間も通れない。だから私は活動的なことより、思索的なことに喜びを感じ、この哲学的な思索の深さを通して私をメナルカ、メナンデル、メネラウス、メナリプスと一緒にしなければならないのです。
(当時は手淫が「メナルシ」と呼ばれてたと知れば、学識豊かにこれらのギリシャ人たちを羅列した真意がわかろう)

私は詩人だ。
さあ、ソネットを一編作ってあげよう。
真のソネット、そは銭が音なり。


(金がないと、囚人は看守から最低限の生活用品すら手に入らなかった。「1ペニーで地獄に落ちる時代」と正反対)


(中略)私が宿泊しているのは、取り壊されて解体された部屋で、風車の最初の怒りにさらされています(神の思し召し)。ですが北風に吹かれても、自分の体が平らになってしまうことがなければ、圧迫感を感じることはありません。エデンの園のアダムのように。壁一面には、石炭や木炭やグロテスクな物でできた、なんて美しいタペストリー!それと鳥やベル付きのシューター。

(悪名高きトリノの独房は暗くて、カビ臭く不健康で、煤と落書きで黒ずんでいる)


惨劇により、トイレのないこの部屋にいることになった。[…]真に艱難辛苦:穴がないためピニャータの中に畏敬の念を持たず小便し、吐く息はアラブの匂いが鼻に届かないよう、タイルで覆っている。


飢餓と、歯の凍結。
聖母をしかと抱きしめるため
食料を集める事はできなかった。
急いで書きたい事が山ほどあるのに
インクは硬く乾いて白い。
濡れた紙に、進まないペン。
痛風の苦しみ、脇腹の痛さ
全ての上に虚無がのしかかっているようだ。
不眠に疲労。

ジョアン・マリアという者の物語を語ろう。彼はユダヤ人として生まれ、ラバ飼いで、僧侶でもあった。主人であり、仲介者であり、スパイだった。もっと褒められる技芸に身をゆだねるため警官になり、最後は処刑人になった。呪われた魂を逃がすために。
(遣り手の囚人の描写)


ついに神の思召しで彼は来る。
そして、暗い空洞の洞穴を震わせる。
3つの喉を持つケルベロスのように吠え。

よこしまな時間に叩く者は、何という悪魔だろう。
躾けられてない者、泥棒の相乗り。
君達のために1時間も眠れない


(看守を呼ぶのに大声を出さないといけないという話)


嗄れ、垂れ、痩せこけ、乾いてる。
髭や髪も手入れされてない。
山羊だったら、毛むくじゃらだ。


(ヤギbeccoは侮辱語でもある。詩人は自分をグロテスクな乞食として描くことを厭わなかった。ベッドを背負い、手淫に耽り、何よりも深い悩みを抱えている)


星に向かって拳を握り、教会と鐘楼を否定せよ

(所長の腹立たしい発言)


敵に迫害され、友人に裏切られ、主人に落胆され、何の役に立てるのか ?私は称賛に値するか ?卑しい人間に偉大さを期待できるか ?悔い改めたウィットのある人と、死にかけた精神のある人とでは? 苦味しか感じない人が、甘い文体を持てるか ?牢獄の闇の中に身を置く者から、詩的な光の明快さを得られるとでも ?


怠けてたら、覚えてる人はいなくなる。
どんな手段を使っても、面倒と思われる。
祈っても聞いてもらえない。
書いたことは、黙示録に記される。


(囚人のジレンマ:書かなければすぐ外部から忘れ去られるが、仲介者にエンジェルになってもらうと、その活動が仇となる)

(Via https://journals.openedition.org/ccrh/3363?lang=en )


【蛇足】