ミゼレーレ

バロック詩の情報。

クロード・ル・プチ⑤数奇な運命

ル・プチが火刑に処された翌年の1663年、オランダ・ライデンで「美神たちの淫売宿」が出版された。詩人は原稿のコピーを友人の一人、シルデベック男爵に送っていたのだ。男爵が印刷させた本は、国立図書館に1部だけYe 4920という番号で保管されていた。

だがこの蔵書は、19世紀半ばに何者かの手によって姿を消す。 しかし、エドゥワ・トリコテルとアルフレッド・ベジという2人の人物がそれより前に別々に内容を書き写して保管していた。その2人の複製をもとに、1910年「美神たちの淫売宿」はフレデリック・ラシェーヴル社から200部発行された。


【蛇足】ル・プチには「滑稽なウィーン」という詩集もあったらしい。彼は、イエズス会の矯正を拒んで僧侶を刺して海外逃亡しスペイン、イタリア、オーストリア、ボヘミア地域、ドイツ、オランダ、イギリスを旅した。さすがに「北のヴェネツィア」サンクトペテルブルクには行かなかったようだ。