diary

バロック詩の情報。

アンドレア・ペルッチ

(拙訳)

「アニャーノの水没」より

ユピテルはある乞食の姿を模倣した :
頭髪は抜け落ち、酔いどれで、
眼はかすみ歯は1 本もなく、
首はねじれ背中に大きな瘤、
虱のいいエサ、鼻突くクサさ、
帽子はぼろぼろ、穴だらけ、
靴下は漁師の網状態 :
服はつぎはぎボロ雑巾。
腰からぶら下げた木製のスープ皿、
背負ったナップサックは擦り切れ革。
木っ端より脆い杖に何とかもたれかかり、
みんながけなす編み靴の
紐と糸とを結んでばかり。
その代わりバッカスは、自慢の
巨躯を活かし、模倣した
姿はまったく対称的だった。
かの布袋腹で、挙げてゆくと
どん腹乞食、背中に羽織った
シャツは泥だらけ、頭を包む汚い布、
ゆがんだ腕を曲げれば
その顔は、サフランより黄ばんだ埃まみれ、
軸の折れた杖をひきずり
い草で刺繍した靴をはき :
その格好で、町へ出た。

【蛇足】長い詩なので、②に続きます。

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