diary

バロック詩の情報。

アンドレア・ペルッチ②(承前)

町の門は閉ざされていたが、
神々は透明人間であるかのように入り込んだ。
彼らが物乞いをして回ると
苦痛の呻きと嘆声が聞かれた。
「見ろよ、なんてムカつくルン○ンだ」
が、最初に受けた反応。
パンを恵んでもらおうにも、
このならず者どもは DOG を GOD にけしかける始末。
ユピテルはバッカスに「最初の共同作業といこう」
といい、広場で不満をぶちまけた。
「この乞食めに哀れみをかけてくださらんのですか?」
だが人々の返事は:「このキ○○イを追い出せ!」
そしてみんなが神々をぶちのめしに出てきた、
つまり食べ物を望んだら、拳が飛び出したのだ;
バッカスの腹めがけて石を投げたものがいた、
バッカスはそれをかわした。
ユピテルは1人の女性に慈悲を乞うた
空腹だからといって、そしたら一言:
「待ってて、今出すから;」だからユピテルは
近寄った、だが彼女はその手の変わりに
壊れた大理石の石すり鉢を投げつけた:
死するのもではないユピテル、あわてて
逃げたりはしなかった、石すり鉢で
死する御鉢ではなかったから。
その間にバッカス、素敵な歯を持つ神は
果物屋に施しを乞うた。
こんな言葉が飛んできた:「このNTR(寝取られ)顔、
よそへゆけ、このNTR(ノータリン)!
だが困窮せし、吾らのバッカスは去らない。
「まだ居やがるのか」店主は言い、
分胴を分投げた、とっても重かったので
バッカスに傷をつけるところだった。
バッカスは見透した、この果実商は盗品屋で、
何千通りもの手練手管で盗んでいるのだと。
このろくでなしは、法に背いて
いかさまの秤と分胴で商売している。
こいつらはパイント(半クォート)を 1 クォートといい、
パンは定められた重さに足りない、
犬にさえやらないような真っ黒なパン。
肉屋は仔牛の肉と称して、
固い雌牛の肉を売る。
死んだ猫を、羊肉に仕立てて流通させる:
薬剤師はうそをついて、胡椒を
シナモンと称している:「実を言うとな」
ユピテルがつぶやいた「もしわしが
この醜い町を海に沈めるのは少々やりすぎでも、
オイル(賄賂)とチーズ(金)については話すらしたくないな:
それでいて、ほしいものを売っている。
薬草医の銭の巻き上げ方は
語りたくない。
鳥肉屋のインチキについて付け加えるなら、
誰も想像すらしないトリックを身に着けている:
卵から鶏肉を取り出す:
だが卵の中にはヒヨコが入っているもんだ!
魚屋は荒くれ者に間違いない、
饐えた魚や腐った貝、
錆びたツナ缶を堂々と売ってるんだからな。
奴らの納税ぶりは口にしたくもない、
永遠に寄生虫の太った蚤ども、
守銭奴であまりにも盗みまくるので
ごく少数だけがあっという間に流通する:
だがすべての欠点もめぐってゆく
そして盗人猛々しい柑橘売り!
売るもの全てがインチキのチャンス!
この賄賂の中でペテンも扱う、
汚濁と人間のくず;もし誰かが運の悪いことに、
ブラッド・プディングを買いたくなったら
(おっ、カモが来やがった!しめしめ)
出されるのは固めた雄牛の血、
地元の食堂で中毒になり、命を失う。*1
服をあつらえる仕立て屋を求めて、
ハナから詐欺にぶつかりながら進む。
仕舞には染みだらけの帽子を被せられ
ベルトは結び目の瘤だ。
編み物は見事に、眩暈のする出来;
好みを度外視した、蜘蛛の巣そのもの:
仕立て屋はだまし、惑わし、目眩ませ、
店にあるくしゃくしゃの品物を掴ませる」
ユピテルは商人に尋ねたかった、
その男は何かの素材を熱心に測っていた、
慈悲をくれるかどうか訊こうとした…が
ただの悪党で、すぐに百倍もの呪詛を送ってきた。
ユピテルはうろついていた間に、気づいた
何フィートもの布が盗品であることに。
ユピテルは中空の物差しで測り、
商人は紙一重で神の加護を失ったという事だ。
神々は立ち去った、そして彼らは神であるが故に
物事の正確な本質を見通していた。
この世界に彼らの眼を逃れられる
計略など、行いようがないのだ。
ユピテルは言った:「わしの考え、正しいのかな?」
バッカスは応えた:「分かってるでしょう、正しいですよ」
あの町の靴職人を見てみればいい。並べられた靴が
どれだけ多くの卑怯な手の賜物か分かるだろう。

*1:ブラッド・プディングは豚の血と脂身で作る