ミゼレーレ

バロック詩の情報。

で、「偽ディオニュシオス」って何よ?

なぜ「偽」かというと… 新約聖書に一行だけ登場するディオニュシオス(アレオパゴスの裁判官デオヌシオ)とは別の、5世紀のディオニュシオスが書いた本だったのが、長い間混同されていたので、区別をつけるために「偽」とつけた。
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ディオニュシオス文書群は『天上位階論』、『教会位階論』、『神名論』、『神秘神学』の4つの著作および10通の『書簡集』から成っている。

『天上位階論』に語られるところによれば、天使の位階には3つの階級(父、子、聖霊に対応)があり、ひとつの階級に3つの段階がある。つまり天使の世界には合計9つの位階が存在する。

『教会位階論』によれば、教会の位階も天使の世界と同じく3つの階級とそのなかの3つ、合計9つの位階で構成される。その具体的な内容は、最も神に近い第一の階級が典礼…その中の第一が香油(附膏、堅信)

クロード・オピルが詩のなかで「三位一体」の理解を諦め、代わりに慈しむのも、この文書群に照らされたからかも…さらに

  • 「暗黒(γνόφος)」という語は、東西のキリスト教神秘思想に共通する「闇」のイメージの源で
  • そこから「神との合一」に進む者を「無に属する者となる」と称し
  • 闇の神聖視はギリシア教父らも共有

…とのことで、これもオピルの詩、スュランの思想*1と通じる。


邦訳は
【蛇足】オピルは鉛色の空のたのしさや、大好きな人を抱きしめながら、夜がどこまでも深く深くなっていけばいいと願った時間を思い出させてくれる。もしくは「星の井戸」。