diary

バロック詩の情報。

ジャンバッティスタ・マリーノ (蜂と蝿の奇想詩)

バッティスタ・カステッロの蠅


ミャグロ神よ、羽のある陰気な
者たちの逃亡と恐怖、虐殺と大災害にして、
かつて壮麗な神殿を建立したミャグロよ、
現在の罪深き時代がお前を知らぬとしても、



(中略)

飛び去ってしまわないならば、私は
あちこちの食卓のリキュールを奪うだろう
私自身の血管から血が吸えるように。



キケロの像についた蜂の巣


蜂は働き者だ、
たいへん甘く作ることのできる蜜や、
さらにその蜜を今作っているあの場所をみればわかる。
賢い集団が急ぐ
あの雄弁な大理石像へと、
その像はやさしい唇に
輝かしい蜂の巣をなおもたたえ、口調には
なおもするどい針をそなえている。



(日塔理恵子訳)


【蛇足】偉人の彫像シリーズはほかにもあり、ネロの彫像は実際に倒れて子供を殺したこと、つまり彫像としてのネロもまた残酷であるという内容。ガイウス・ムキウス・スカエウォラの彫像は、火で焼いても取り除けなかった右手が、時の力によって失われたという趣向になっている。